初心者のための富士登山ガイド

 

山登りの楽しみの一つに山頂での食事があるのは間違いないところ。
自作のおにぎりやサンドウィッチなら格別だし、コンビニ弁当や山小屋の弁当ですら、何かとても贅沢に感じてしまうのは、登頂後の達成感と山頂での開放感、ロケーションによるものでしょう。
ましてや日本最高所の富士山頂で食べるということなら、それだけで気分が高揚して普段の何倍も美味しく感じてしまうのも当然でしょうね。

 

よく見かけるのがコッヘルや携帯ガスコンロで調理をしている人。
アウトドア志向が高まっている昨今では、どこの山でも当たり前のような光景になってきましたが。

 

但し、ちょっと待って下さい。
富士山頂ではご飯を上手く炊くのが難しいということをご存知ですか?

 

富士山頂は海抜3,776m、気圧は平地の3分の2程度の約640Phしかありません。
この気象条件下では水が沸騰する温度も下がり、100℃ではなく88℃で沸騰するのです。

 

キャンプの容量で飯ごうでご飯を炊いても、芯が残ってしまい、美味しく炊けません。
圧力鍋を使えばこの問題も解消されるのですが、ハードな富士登山には必要以上の装備は控えた方が良いですからね。

 

ちなみに世界最高峰のエベレスト山頂(標高8,850m)では、気圧は地上の3分の1の310Ph、沸点は70℃まで下がります。
高度が9,000mを超えると人間の体内の血中濃度に異常をきたし、長時間意識を保つことも難しいとされています。
エベレストはまさに人類が到達可能なギリギリな高度と言えるかもしれませんね。