富士山にはたくさんの山小屋があります。
通常の山小屋は旅館やホテルなどの宿泊施設と違って、登山者の宿泊には非常に寛容(基本的に来る者拒まず)なのですが、富士山に限ってはこれに当てはまりません。
収容能力をはるかに上回る利用者が、限られたシーズンにどっと押しかけます。
事前予約なしに泊まることはまず不可能です。
しかし、今シーズンの週末やお盆休みの期間は、殆どの山小屋が既に予約で埋まっているようです。
‘山小屋が利用出来ない’ということが、弾丸登山を助長する一因にもなっているという困った現状でもあるのです。
平日なら若干の余裕があるかもしれないので、現地に問い合わせて確認してみると良いでしょう。
さて、山小屋ってどんな所なの?
初めて富士山に登る人は、おそらく山小屋に泊まるのも初めてでしょう。
本来山小屋の存在意義というものは、緊急時に対処するための施設であることが大前提。
厳しい自然環境の中にあって、登山者にとっては身を護るための非常にありがたい存在であるわけです。
そういう場にリゾートホテル並みの快適さを求めてはいけません。
不慣れな人にとっては、不便さ、不自由さが目に付くこととは思いますが、それも山旅の良い思い出・・・という位におおらかな心で捉えてみましょう。
少し前置きが長くなりましたが、ではどんな点に不自由さを感じるのか。
まず原則的に寝床は大部屋での雑魚寝になります。
一時期は頭と足を互い違いにして寝るというような逼迫した寝床事情でしたが、最近では宿泊客自体をセーブすることによって改善されつつあるようです。
個室がある小屋も一部にはありますが、それもかなり早い段階で予約で埋まってしまうでしょう。
キャンセルで急遽空きが出来た・・・などという可能性も無きにしも非ずですから、ダメ元で直前に問い合わせてみても良いでしょうね。
山では水源の確保が難しいため、水は大変貴重なものとなります。
トイレの排水処理には雨水などの溜め水を利用しなければならないほどです。
また、環境保全の観点からも、石鹸、ハンドソープ、洗顔フォームなどの利用が禁止されている所が殆どなので、心得ておきましょう。
歯磨きも基本的には×なので、気になる人は歯みがきガムなどを代用するのも方法の一つです。
電気は自家発電で賄っている所が多く、当然携帯電話の充電などは出来ません。
山では必要以上に携帯を操作せず、バッテリーを温存しておくべきです。
山小屋のチェックインは大体2〜3時位から。
夕食の時間が5時頃なので、遅くともそれまでには小屋に着いているようにしましょう。
予定時間より遅れる場合は、小屋に連絡を入れるのがマナーです。
就寝時間は8〜9時位。
夜間、周囲の人のいびきや、トイレを利用する人のヘッドランプの灯りなどが気になるケースも考えられます。
心配な方は耳栓やアイマスクを用意しておくと良いでしょう。
就寝時間以降はなるべくガサガサと物音を立てたりすることのないように気を付けましょう。
荷物の取り違えや靴の履き間違えといったことも過去に事例があります。
ストックはしっかりと自分のザックに装着した状態で、また靴は互いの紐を結んで、何か目印になるハンカチでも結わえ付けておけば、こういったトラブルを未然に防げるでしょう。
チェックアウトの時間は、普段利用している宿泊施設よりかなり早めになります。
ですが、富士登山で小屋を利用する人の殆どがご来光目的でしょうから、この点は特に問題ではないでしょう。
ご来光を仰ぐ予定のない人でも、7〜8時頃にはチェックアウトしなければならない小屋が大半なので、注意が必要です。
この点については各山小屋によって事情が異なりますので、事前によく確認しておく必要があります。
また、山小屋は宿泊だけではなく、休憩や売店、トイレの利用などでも大変助かる存在。
荷物をなるべく抑えたい場合、手持ちのペットボトルを1本減らし、その分の水分補給を山小屋でするというのも有効な方法の一つです。
(販売されている飲料水は平地の倍以上の金額ですが)
こういった山小屋事情をよく踏まえた上で、気持ち良く利用したいものですね。
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