初心者のための富士登山ガイド

疲れない歩き方のコツは「ブレない男(女)」になること!?

 

次に「富士山の正しい歩き方」について。
富士山の・・・というより全ての山に共通することなので、この機会に山歩きを始めてみようかな・・・と考えている方は参考にして下さいね。

 

普段歩き方を意識することはまずないと思いますが、登山の歩き方というのは、日常のそれとは少し違います。
意識をすることで疲れを軽減することが出来るので、ぜひ覚えておいて下さい。

 

一言で表すと「ブレない歩き方」です。

 

どこかの政党のスローガンではないですが、最近日常でよく見かける「ブレない」という表現。
考え方、行動に芯が通っていて、的を外していないさまを端的に表している言葉ですが。

 

登山の歩き方もこの‘ブレない’ことが重要なポイントになってきます。
では何をブレないようにするのか?
それは体軸です。

 

体軸とは頭の先から足の先までの一本の中心線と考えて下さい。
この線を中心に重心を移動させることにより、人間は様々な動作を効率良く行うことが出来ます。

 

登山のみならず、あらゆるスポーツにおいても体軸を安定させることが重要とされているのです。
野球やテニスでボールを打つ際、体軸がブレるとスイングの軌道が安定せず、ボールに的確に力を伝えることが出来ません。
スキーやスノーボードは体軸を中心とした重心移動により、ターン弧を描いて滑るスポーツ。
陸上競技や水泳、体操においても、あらゆるアスリートたちが常に体軸を意識したトレーニングを行っています。

 

登山において体軸がブレないように歩く・・・ということは「重心を安定させて歩く」ということなのです。

 

もう少しわかりやすく表現すると
体を一本の棒に見立て、この棒が常に倒れないように保ちながら歩く・・・
これでイメージしやすくなったでしょう。

 

これを意識して歩くと、自然と傾斜に対する歩幅が変化してくるはずです。
傾斜がきつくなるほど歩幅が狭くなります。

 

但し、全くの直立不動状態とも違います。
登山の場合、背中に重い荷物を背負います。
すると必然的にバランスを取るため、若干の前傾姿勢になるのです。
背筋をピンと伸ばした状態では重心が後傾気味になるため、むしろ2〜3度前かがみになるくらいが丁度良いでしょう。
背中を丸めると言うより、股関節を支点にやや前傾するくらいの感覚で良いと思います。

 

下りはさらに注意が必要です。
登りに比べて注意力が散漫になりやすく、疲労も蓄積していますから、自分の意志に反し重力の法則に任せてどんどん降りてしまいがちです。
このペースで下って行くと、富士山のような長丁場ではかなりの確率で膝を傷めることになるでしょう。

 

重心を安定させることをより強く意識しつつ、足先は揃えるよりもやや開き気味にします。
傾斜がきつい下り坂は、若干ジグザグにステップを刻むようにすると楽になります。
スキーに例えるなら、直滑降より斜滑降です。

 

気持ちガニ足の小股歩き
これが山歩きに適した歩き方、疲れにくい歩き方です。

 

そうですね、決して美しい歩き方ではないかも(笑)

 

トレッキングポールの使い方

 

トレッキングポール(ストックとも言う)はノルディックスキーのストックから派生し、ヨーロッパで登山用の補助用具として普及してきました。
日本でも中高年の登山ブームの影響があってか、普及にそれほど時間がかかりませんでした。

 

スキーのストックと決定的に違う点は、伸縮性があるということ。
3段階式になっているものが殆どです。

 

形状は2種類あり、グリップ部分がT字型のものとI字型のもの。
T字型のものはシングルストック、I字型のものはダブルストックとして使うのが一般的です。
どちらを選ぶかは好みにもよりますが、初心者は概ねI字型のダブルストックの方が操作しやすいでしょう。

 

素材は軽量なカーボンシャフトのものと、耐久性の高いアルミシャフトのものがあります。
カーボン性の方がコスト的には若干高めになります。

 

かつてのポールはどちらかと言うとT字型が主力で、脚力の弱い年配者が「杖」代わりに使うという地味なイメージがありました。
しかし、最近ではプロのクライマー仕様のモデルや、女性ユーザーにターゲットを絞ったモデルも現れ、よりスポーティでファッショナブルなアイテムとして定着してきたのです。

 

 

トレッキングポールを使うことのメリットは

 

@足、特に下山時の膝への負担を軽減する。
A登山時の推進力を高め、リズムよく歩行出来る。
B安定したバランスを保てる。

 

などが挙げられます。

 

「一度使うと手放させない」という人も多く、そのサポート力は確かなものがあります。

 

 

デメリットとしては、登山路沿いの草花や木道を傷める可能性があることが挙げられます。
「石突き」と呼ばれる尖った先端部には、保護用のラバーキャップを取り付けましょう。

 

富士山のように混雑する登山道では、周囲の人に迷惑をかけないよう慎重に扱う必要があります。
また、岩場など手を使ってよじ登るような場所ではかえって邪魔になりますし、岩の隙間にポールが挟まると転倒して思わぬ怪我に繋がります。
ポールの扱いに不慣れな人は、岩場では畳んだ状態でザックの脇に装着しておいた方が安全です。

 

ポールをどのようにザックに取り付けたら良いのか、悩む人はけっこう多いようです。
装着するためのベルトが付いているものもありますが、一見そう見えても実はピッケル用のループだったりして、初心者にはなかなか難しいもの。
また、上手く装着したつもりでも、T字型のものはグリップ部分でホールド出来るのですが、I字型のものはスルっと抜け落ちてしまったり。
I字型のものはポールを逆さまにした状態で括り付け、グリップ部分をザックのサイドポケットに刺すようにしましょう。
先端部分が飛び出過ぎると歩行中に樹木に引っ掛かることがあるので注意が必要です。
また、周囲に危害を及ぼすことも考えられるので、カバーを被せた方が良いでしょう。
100円ショップでも代用出来るものがあります。

 

先端のカバーは日用品で代用可能 これはフローリングの傷を防ぐイス脚カバー、100円ショップで売っている

 

 

グリップの握り方は、T字型の場合は上部を、I字型の場合はスキーのストックのようにストラップを通して横を握ります。

 

  

 

最近はエルゴングリップと言って、I字型でありながら、T字型のように上部からホールド出来る万能タイプのものも出てきました。
価格設定は高めになりますが、操作性が高いのでオススメです。

 

 

ポールは状況に応じて長さを調節して使います。
通常は登りで短め、下りでは長めにセッティングします。
いずれも地面を突いた時に肘の角度が直角になるくらいが丁度良い長さになります。
これが基本のスタイルですが、山歩きではあらゆる場面に遭遇します。
トラバース(斜面を横切る)する場合、山側を短め、谷側を長めに。
また、アップダウンが連続するようなコースで、その都度長さを調節するのが面倒な場合、グリップ下部のシャフト部分を握る方法もあります。
臨機応変に対応しましょう。

 

登りではポールを付く場所は概ね体の真横からやや後方、推進力を引き出す役目を果たします。
下りではステップとほぼ同じか、やや斜め前方に付き、着地時の足への負担を軽減するのが主です。
但し、これもまたあくまで基本。
痩せた尾根(幅の狭い尾根道)では崖側が崩れやすいため、敢えて谷側だけポールを付かなかったり、谷側だけ体の正面に付いたりする工夫も必要です。

 

ポールはあくまで補助アイテム、極端に便り過ぎてはいけません。
過度に体重を預けると、バランスを崩し転倒のリスクが高まります。

 

 

ちなみに富士登山者がよく利用している金剛杖。
あれは本来観光土産用の品で、トレッキングポールの代用としては不十分です。。
伸縮機能が無く、重さもそれなりにあるため、使い勝手のあるアイテムとは言えません。

 

 

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