「富士山」という呼び名はいつ頃付けられたものなのか。
誰が命名したものなのか。
これには諸説あり、実際のところどれが正しいものなのかは判らないようです。
他に比類がなく唯一無二の存在であることを意味する「不二山」が始まりだったという説。
奈良時代の「常陸国風土記」に書かれた「福慈」から取ったという説。
尽きることのないさまを表した「不尽」から取ったという説。
・・・等々
最も浪漫を感じるものとして平安時代の「竹取物語」にルーツを求めるものがあります。
月へ帰ることになったかぐや姫が、帝に不老不死の秘薬を渡します。
「姫がいないのであれば、生き永らえても仕方ない」と嘆いた帝は、手紙と一緒に不死の薬の入った壺を燃やすように命じます。
この命によって大勢の兵士らが最も高い山に登り、そこで手紙と薬を焼いたのです。
「其山を不死の山とは名づけける」
竹取物語ではこのように語られています。
この「不死の山」から「不死山」となり、鎌倉時代に武士が好むに相応しいということで「富士山」という字になったという説です。
また、帝の命により大勢の士(つわもの)が登ったことから、「士が富む山」という意味で「富士山」になったという説も。
いずれにしても、さすが日本一の山だけあって、名前を巡るエピソードも壮大なものが多く、古の時代から人々の心を魅了してやまない存在であったことは容易に判断出来ますよね。