初心者のための富士登山ガイド

これまで富士山の登山シーズンは例年マイカー規制がなされてきました。
世界遺産登録後、この規制がさらに強化されているようです。
来客者の安全・快適性確保、そして自然保護の観点からやむを得ない手段と思われます。
麓にある指定の駐車場に停め、登山口の5合目・新5合目まではシャトルバスかタクシーを利用することになります。
規制に関する情報は今後も逐一変更する可能性があるので、最新情報を直前に確認しておきましょう。

 

 

富士山のトイレ事情に関しても、事前に頭に入れておきたいところです。
現在、登山道各所に設けられたトイレ施設は、山小屋を含めて全てチップ(有料)制となっています。
山小屋のトイレに関しては、宿泊者が100円、一般の利用者が200円という所が殆ど。
これは環境整備に多大な経費を要するためのやむを得ない対策の一つです。
富士登山の際は、100円玉を多めに用意しておくようにしましょう。

 

 

富士登山と高山病は切っても切れない関係にあるといっても過言ではありません。
富士山のような高所では、気圧が低くなることにより、大気中の酸素の密度が低くなります。
これによって体に様々な変調をきたすことがあるのです。
主な症状として、頭痛、めまい、息切れ、倦怠感や虚脱感、吐き気、むくみ・・・等々。
高山病には有効な治療薬がなく、回復には高度を下げる以外に方法がありません。
予防法としては、十分な睡眠、無理のないペース、適度な休憩と水分補給といったものが挙げられます。
高山病の発症には個人差があり、体力や登山経験の有無はあまり関係ないのです。
「自分は登山経験豊富だから」と甘く見たりせず、少しの体調変化にも敏感に対応し、場合によっては無理をせず引き返すようにしましょう。

 

 

山での携帯電話の通話状況は、ひと頃に比べて飛躍的に進歩してきました。
現在、富士山でも各登山道のほぼ全所で、携帯電話の通話が可能になっています。
しかし、非常時に備えてバッテリーを無駄に使用することは避けましょう。
山小屋泊を予定している人は特に注意が必要です。
ホテルなどの宿泊施設と違って、充電はまず不可能だからです。
最近はスマホ用に様々な山登り関連のアプリも出ています。
また、動画や写真、SNS投稿など、単なる電話としての機能以外に多用な活用シーンが考えられます。
どうしても山での利用を考えている人は、予備のバッテリーを用意しておきましょう。

 

 

富士山は世界遺産登録後の環境保全の観点から、今後入山料を徴収する方向で検討を進めています。
現在、試験的に任意で1,000円の登山料を徴収していますが、今後これが定型化し、さらに増額することも考えられます。
経済学者でもある京都大学の栗山浩一教授によると、富士山を訪れる登山者の数を従来通りに抑えるには、7,000円の入山料を徴収するのが妥当だろう、と試算しています。
入山料という設定は国内では初めてのケースになりますが、世界的には南米のアコンカグア、アフリカのキリマンジャロ、米国のマウント・レーニアなど、幾つかの前例があります。
世界最高峰のエベレストに至っては、ネパール側からの入山には1パーティ(10人以内)25,000$、チベット側からは10,000$という破格の料金が徴収されます。
いずれも国立公園に指定されており、世界的にも著名な観光の山であることから、環境保全という名目によるもの。
富士山のケースもやむを得ないのではないか・・・と個人的には思うのですが。
むしろ大切なのは、その使途を明瞭にすることではないでしょうか。
世界遺産登録は「ギリギリ及第点」というのが多くの関係機関の認識であり、今後の対策如何では赤点→落第などという恥ずかしい事態も考えられないわけではありません。
これからは常に世界中の厳しい目に晒されるわけですから、いい加減な対応だけはして欲しくないですよね。
いつまでも日本人が世界に誇れる富士山であり続けるためには、富士山を愛する私たち一人ひとりの努力が必要なのです。

 

 

 


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