初心者のための富士登山ガイド

用具は機能性、服装は機能性プラス素材

 

さて、これらの用具を購入する際にぜひ頭に入れておきたいことが何点かあります。
先ほども述べた「三種の神器」から、もう少し詳しく説明しましょう。

 

 

まずはレインウェアから。

 

これを筆頭に挙げたのは、意外と軽視しがちな人が多いからです。
しかし、山の天気は平地とは比較にならないほど変わりやすいもの。
「山は地形上、雲が発生しやすい」という基本的なことを頭に入れておいて下さい。
どんなに天気予報が良くても、必ずレインウェアは携行するべきです。

 

登山には登山に適したレインウェアがあります。
山で雨が降る時は風を伴うことが多く、富士登山のように遮るものがない所では、吹きさらし状態になります。
コンビニやホームセンターなどに売っている簡易用のビニールタイプのもの(いわゆる雨合羽)では役に立ちません。
横からの水の浸入に対応性がなく、また透湿性に劣るので着ているうちに汗で蒸れてしまうからです。

 

登山に適したレインウェアの必須項目は以下の3点。

 

@上下セパレートタイプであること。
Aしっかり固定できるフードが付いているもの。
Bパンツは登山靴を履いたままでも着脱可能なように、裾がジッパータイプになっているもの。

 

最低限この3点をクリアしているものを選んで下さい。

 

登山用品店、アウトドアショップで売られているものは、よほど安価なものでない限り、これらの条件は満たしているはずです。
コスト的に少し高くはなりますが、防水透湿性機能に優れたゴアテックス素材のものはオススメです。

 

 

次はザックです。

 

ザックはまず容量によって分かれますが、富士登山の場合、25〜35リットル位は必要でしょう。
上部がジッパー開閉式のものと、雨蓋が付いているタイプのものがありますが、オススメは雨蓋タイプのもの。
こちらの方が収納はいくらか余裕ができます。
中身を取り出す際に若干手間ですが、雨蓋部分がジッパー式のポケットになっているので、頻繁に出し入れする携行食などはここに収納しておくと良いでしょう。

 

そして、ウエストベルトが付いているものを選びたいですね。
ザックは肩と腰の両方で背負うようにするのが、疲れにくいコツです。
背負った時にしっかりと腰骨の部分でホールド出来ているか確認しましょう。

 

背面長(背負った時にザックが背中に当たる部分の長さ)が合っていることも重要です。
この部分の長さが合っていないと、しっかりと腰骨部分で背負うことが出来ないからです。

 

最近は背面部分が通気性の良いメッシュ状になっているものが多く、長時間背負っていても背中が蒸れにくくなっています。

 

雨天の時、体はレインウェアで濡れを防げますが、ザックはびしょ濡れになります。
これを防ぐのがザックカバーで、通常は別売りですが、最初からザックに折り込まれているものもあります。
別途購入する場合、ザックのサイズに合っているものを選ぶことも忘れずに。

 

 

最後にです

 

よく「登山靴とトレッキングシューズは違うの?」という疑問を耳にします。
山歩き用の靴はおおまかに3タイプに分けることができます。

 

全体が革素材のハードなタイプ、いわゆる重登山靴というもの。
くるぶしの部分がハイカット、ミドルカットになっている標準的なトレッキングシューズ、いわゆる軽登山靴というもの。
スニーカーのようなローカットのもの。

 

ハードタイプのものは、主に山小屋泊のアルプス縦走など、重い荷物を背負った長時間の岩場歩きなどに適しています。
富士登山の場合、ここまで本格的な登山靴でなくても大丈夫ですが、最低でもミドルカット、出来ればハイカットのものを選びたいですね。
よくスニーカーで登っている人も見かけますし、決して無理ではないのですが、やはり長時間の山道歩行は足にかなりの負担になります。
特に下り坂ではその差は歴然。
ソールが厚く硬いものは疲れにくく、くるぶしが覆われているものは、捻挫など怪我の防止になります。
また、富士山の登山道は砂利が多く、ローカットの靴ではしばしば中に小石が入り、これを取り除くのはけっこうなストレスになります。

 

シューズは買う時にもちょっとしたコツがあるのです。

 

これは登山靴に限らず、普段の靴を買う場合も同じことが言えるのですが、ショップに行く時間帯は夕方頃がベター。
人間の足は歩いているうちに少しずつむくんできます。
僅かではありますが、朝よりも夜の方が足のサイズが大きくなっているのです。
さらに、実際に登山用の厚手のソックスを持参して、履き替えてから合わせるようにしましょう。
登山専門店や親切なショップでは、替えのソックスを用意してくれる所もあります。

 

履く時はトントンとかかとを詰め、靴紐をしっかり結びます。
しっかり履いた状態でくるぶしの部分に指が軽く入るくらいが良いでしょう。
平坦な所だけでなく、段差がある所なども実際に歩き回ってみます。
前述したとおり、最初から自分の足にピッタリと馴染む靴はありません。
歩いた時に当たる箇所がないこと、かかとが浮くような状態にならないことが重要です。
それと、爪先部分に気持ち余裕がある(1センチ程度)こと。

 

わからないことは店員さんに聞きましょう。

 

 

 

最後に服装についてのアドバイスを。

 

最大のポイントは綿素材(コットン)よりも、化繊素材(ウール、ポリエステルなど)のものを選ぶということです。
綿素材は吸汗性は高いのですが、速乾性は低いのが特徴。
富士登山では膨大な量の汗をかくことになります。いつまでも汗で濡れた状態のままで登山を続けると、夏場でも体を冷やし、最悪の場合低体温症を発症する恐れもあります。

 

特に肌に直接当たるTシャツやトレッキングパンツは、このポイントを踏まえて選びましょう。

 

濡れると重たくなり、伸縮性にも乏しいジーパンは登山には不向き。
その点トレッキングパンツはストレッチ性に優れ、ポケットが多いので機能性も高いのが特徴。
最近はジッパータイプで膝丈部分が取り外し可能な便利なものもあります。

 

また登山時の服装の基本は「重ね着」が出来ること。
標高、気象、体調など刻々と状況が変化する登山では、着たり脱いだりという行為が頻繁に発生します。
その時にまごつかないような服装を用意するということが大切です。
半袖のTシャツに長袖のシャツを羽織る、その上にウィンドブレーカーやフリースなどの防寒具を羽織る・・・といった具合ですね。

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